爺の手回しロクロ
古い古いつき合いの爺ロクロです。
「技法の謎解き」コーナー中で〈番外!「どうする」爺の弱音。〉の題にて
帰ってきたmyロクロとしてご紹介しました例のロクロの話しです。
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25年ほど前、さる材料屋さんへ特注して作っていただいた爺の手回しロクロです。若かった爺はごたぶんにもれず桃山陶の造形美に憧れました。そして昔と同様の手回しロクロを求めました。しかしながら、全部木製のロクロなど現代存在するはずもなく、天板(昔は「鏡」と呼んだそうです)以外は鉄製です。直径52センチほどありまして、部厚い2枚のサクラ材をひとつに接いであります。製作業者さん最後の在庫と聞きました。今となっては記憶していないのですが、当時の作業場の土間の高さに合わせたらしく全高60センチもあります。太い鉄製の回転軸と繋がっていて、その回転軸ごと回ります。重い本体にもかかわらず、小指一本で回ります。材料は違えど、構造は昔のままだったのです。今でも鉄製の手回しロクロなら市販されていますが、こちらはロクロの円盤が回る仕組みです。これだと直径45センチほどのロクロでも回し始めには力がいります。予備ロクロとして備えてはありますが、ほとんど使ったことがありません。 |
| 8年前、頸椎椎間板ヘルニア発症を機会にこの愛用のロクロを市内で土夢土夢窯を開業する甥に譲りました。萎えた左腕を少しでもカバーしようと電動蹴りロクロに替えたのです。なのに最近になり古いロクロが出戻ってきました。その顛末を「技法の謎解き」コーナーにて〈番外!「どうする」爺の弱音。〉と題して記したわけです。甥に渡した時には20年近く爺が酷使したせいでロクロバセを入れる穴が天板側面を貫いて痛々しい姿でした。なのに戻ったときにはすっかり他の板で象嵌修復され、ロクロバセ用の穴には金属がはめ込まれています。木工の得意な甥のうれしい仕業でした。ところでロクロバセという聞き慣れない言葉を記しましたが、右の写真に写る木の棒のことです。手回しロクロを回すには、この棒を握って、天板の外周にあけられた穴に棒の先端を差し込んで回します。長い間使用すると、この棒、短くなってしまいます。何年かごと爺は木の枝を削って作り替えています。 | ![]() |
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ロクロの上に乗っている道具は、爺の井戸茶碗水引き用です。ロクロバセの他にヘラとシッピキ(糸切り)それに安物の平筆ですべてです。ヘラは市販のものを少し削ってある程度です。シッピキは細目です。井戸茶碗の土は荒い方なので、もう少し太めの糸が適切なのでしょうが、爺は細い絹糸が好みです。平筆は水引き中にドベを器胎に塗ったり、余分な水分を取るのに使います。仕上げにセーム皮は使いません。右手の親指と人差し指を合わせたVの字部分が爺の仕上げ皮です。以前はこのロクロを土間に設置していました。出戻った時には土間は棚で埋まっていて、落ち着き場所がありません。何故って、回転力でドベをあたりかまわず振りまくからです。しかたなく、この夏の暑い盛りに素人大工仕事をする羽目に。ロクロの回りを取り囲むロクロ台をなんとか完成させました。どうやら手回しロクロの勘所を取り戻しつつあるこの頃です。〈2011/9/5記〉 |