作者と作品>黄瀬戸白土象嵌について

黄瀬戸鉢に白土で象嵌してみよう。思い立つのは簡単でした。
李朝三島手の象嵌は好みでしたし、長年経験してきたことです。
それを黄瀬戸に活かせばいいのでしょう。と、軽く考えていたのですが。

出来上がったイメージからなかなか抜け出せないものだとつくづく感じます。
ようやくねらいの黄瀬戸白土象嵌鉢を焼き上げることができました。
黄瀬戸に白土で象嵌をはじめてもう何年経つのでしょう。
頭では判っているのに「黄瀬戸は線彫り」という厚い殻を破ることは難しいことでした。
もちろんすばらしい完成を見せる桃山黄瀬戸に対抗して
「新しい黄瀬戸表現を」などと大それた考えは元から毛頭ございません。
ただ、古くからの胡粉を盛り上げた日本画表現を黄瀬戸に試してみたかったのです。
それなのにいざとなると白土をなかなか盛り上げることが出来ない私なのです。
昨年の春、窓越しの向こうの山に雨にかすむ藤の花を見たとき、私も大胆になれたようです。
秦野の山藤に感謝しています。旺盛な生命力を発してそれは見事に咲き乱れます。

作者・小宮加津子(h17/05/23)